後十字靭帯損傷について

いつもご覧いただきありがとうございます!

院長のながしまです。

今回は『後十字靭帯損傷』について簡単にお話していきたいと思います!!



後十字靭帯(PCLと略す場合もあります)は膝の靭帯を言います。(以前靭帯って何?その2でも説明していますので参考にどうぞ!!)


後十字靭帯は膝関節内の大腿骨内側から脛骨の後方に走行する靱帯です。
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赤 前十字靭帯
青 後十字靭帯
黄 内側側副靭帯
緑 外側側副靭帯


役割としては主に膝関節の伸展・屈曲・回旋の制限と下腿の後方への動揺性を防ぐ役割があります。

構造も前十字靱帯に比べ約2倍の太さと力学的強度があります。

故に後十字靭帯の損傷は激しい接触による外傷が大半です。

損傷時は後十字靭帯単独損傷とその他の軟部組織(前十字靭帯や側副靭帯や半月板など)との複合損傷があります。

【主な発生機序】

下腿部(膝下辺り)をぶつけたり下腿の内旋強制などで発症します。

特にコンタクトスポーツで脛(すね)に相手がぶつかったり、転倒して地面にぶつけたりした場合に起こることが多いそうです。

また、交通事故などでも発生します。


【症状】
後十字靭帯受傷時には関節内で出血し1~2時間で膝が腫れてきます(腫脹)。

上記に発生機序で書いたように、地面にぶつけたりして受傷していることがあるので、膝下などに擦り傷などがある場合が多いです。

疼痛により膝の可動域制限(動作制限)をきたし荷重歩行も制限されます。
*これらの症状は安静にして2~3週ほどで落ち着いてくるため、慢性期には症状があまりでないことがあるそうです。
(画像診断してみたら切れていたなんてこともあるそうです)

あとは下り坂などで膝の不安定性がみられることが多いです。

検査方法にもなるのですが、たまに足を台などに乗せていると、下腿が落ち込むことがあります。(sag sign)


【診断】
・徒手検査
後方押し込みテスト :  膝関節80~90度屈曲位で下腿を後方へ押し込み、落ち込むと陽性

赤➡ : 押し込み
青➡ : 落ち込み

画像診断(レントゲン・CT・MRI)
KT-2000(膝関節前方動揺性検査)

【治療】
保存療法が多く取られます。

後十字靭帯は保存療法により症状が安定する事が多く(靭帯が修復される訳ではないようです)、手術する場合はかなりの不安定性がある場合など、かなり酷い症状の場合に行うそうです。

しかし、スポーツ選手などの場合は、復帰までは半年ほどを目安にした方が良いと思います。

安静にして痛みが引いてきたら可動域訓練や膝関節周りの筋トレやストレッチを行い、徐々に復帰する方法を取ります。

ただし、ハードサポーターなどは必要と思います。

*血腫などが関節内に溜まっている場合は抜いてもらいます。

後十字靭帯損傷は上記のように保存療法が多いですが、きちんとした処置を行わなければ、関節の不安定性により、変形性膝関節症へと移行する場合がありますので、ケガをした場合は自己判断せずに必ずお近くの医療機関を受診するようにして下さい!!