脱臼について⑤

いつもご覧いただきありがとうございます!

院長のながしまです。

では、今週も前回に引き続き『脱臼』について書いていきたいと思います。


今回はまず脱臼時の合併症について説明します。

【脱臼の合併症】
①骨折 
・骨折を伴った脱臼は脱臼骨折と言う
・整復が困難で治癒に長期化しやすい
・骨折と脱臼が近接で起こった場合は脱臼を先に整復する

②血管、神経の損傷
脱臼した骨頭によって神経や血管を圧迫し、神経障害や血行障害を起こすことがある

③軟部組織の損傷
脱臼時に関節部の靭帯・腱の損傷することが多い
・筋肉・筋膜・軟骨・関節唇・関節包などの損傷
・開放性脱臼の場合は感染による化膿を注意

④ 内臓器の損傷


【脱臼の整復障害】
私たち柔道整復師は非観血的整復(手術ではない)を行うので、稀に色々な障害が整復時に発生する事があります。

以下がその原因となります。

①ボタン穴機構
・関節包(関節を包む袋)が破れたり、筋肉により脱臼した骨頭がそこに挟まってしまう。
・洋服のボタンをはずそうとしてなかなか外れない時と同じで上記から骨頭が外れない。
・無理矢理整復しても再び脱臼してしまう(仮性整復)

②掌側版・種子骨の嵌入
・親指(中手指節関節)の脱臼時に見られることがある。
・整復時に掌側版や種子骨が関節に挟まってしまう。
*掌側版 : 手のひら側にある軟骨
*種子骨 : 関節の動きを滑らかにする(滑車みたいな役割)


③関節包・筋・骨片による整復路の閉鎖
・先ほどのボタン穴機構とは違い、骨頭が元に戻るための進路を邪魔されている状態

④整復に際して支点となるべき骨部の骨折による欠損
・脱臼を整復する時にてこの原理を使って整復することが大半なのですが、その時に支点となる骨が骨折していると整復が出来ない。

⑤関節包・補強靭帯・筋肉の緊張
・ガッチガチに力が入っていたりすれば整復できません・・・。(痛いので仕方ないと思います)

⑥陳旧性脱臼
・陳旧性(ちんきゅうせい)とは医学用語で長期経過したもの(要は古い)って意味です。
・脱臼してすぐに処置をする場合が殆どですが、稀に足の小指など脱臼してそのままにされている場合があります(ご高齢や何らかの原因で)そのような場合は整復しても元に戻らない可能性が多いです。


次回は脱臼編を最後にしたいと思います!!