遅発性尺骨神経麻痺(ちはつせいしゃっこつしんけまひ)について

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いつもご覧いただきありがとうございます!

院長のながしまです。

今回はご質問いただきましたので、

『遅発性尺骨神経麻痺(ちはつせいしゃっこつしんけまひ)

ついて書いていきます。


まず、遅発性とはですが、要は『すぐに出ない』と言うことです。

特に、遅発性尺骨神経麻痺は数十年後などに起こることが多いです。

【症状】
・薬指~小指のしびれ(特に小指)
・手の骨と骨の間にある筋肉が痩せていく
・親指が閉じれなくなる
・指先が勝手に曲がる

など、があります。

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赤○に痺れが来ます。

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赤○の場所にある筋肉が痩せていき、骨がくっきり見えてきます。
*ちなみに私は手は肉に覆われてます・・・

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親指と人差し指側に閉じる筋肉が麻痺するので、閉じる力がとても弱くなります。
*ほかの筋肉で代用するので、見た目的には閉じることが出来ます。

見た目だけかを調べるには
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のように紙を挟んで、➡方向に引っ張った時に紙が引き抜けなければ陰性です。
*気を付けなければいけないのは、写真の状態をキープしていることです!!
抑え込む親指が変に動いてはいけません。

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上の写真は指先が勝手に曲がる・・・を表現したつもりの写真です・・・。
*ちなみに実際は薬指と小指でなります。

実際は『鉤指(かぎゆび)』とか『鉤爪指変形』などと呼ばれる、特徴的な外見を呈します。


【原因】
では、何で神経麻痺がそれほど遅れて発症するのか?を説明します。

大きなポイント『外反肘(がいはんちゅう)』です。

外反肘とは肘が外側に反った状態のことを言います。

人間は『キャリーアングル』と言って解剖学的にわずかに(約15度)外反してます。
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しかし、何らかの原因でその外反角度が大きくなると、尺骨神経溝を通る尺骨神経が引っ張られ、神経障害を起こします。
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下の写真部分を神経が通ります。
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では先ほど書きました『何らかの原因』ですが、一番多いのが幼少期に受傷した『上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)』の変形治癒が一番大きな原因になります。

上腕骨顆上骨折は
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の辺で骨折するのですが、整復(骨の位置を元に戻すこと)がとてもシビアで難しいです。

故に、失敗?すると肘が外反肘を起こしたり、内反肘(ないはんちゅう:肘が内側に曲がる変形)を呈します。

しかし、骨の成長は少しずつ進んでいくので骨折が治ってすぐには発症しません。

徐々に変形していき、尺骨神経にストレスが与えられ発症します。

ここで一つ付け加えますが、肘には『肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)』と呼ばれる障害があります。

症状は尺骨神経麻痺と同じです。

文献によっては尺骨神経麻痺と肘部管症候群を同じ扱いで記載してます。

肘部管症候群の場合は野球の投球などで肘の内側に外反ストレスが掛かり続けることによって発症しやすいのに対し、遅発性尺骨神経麻痺さきほど書きましたように、昔の怪我が原因だあると言うことがポイントです。

しかし、遅発性であってもなくても『尺骨神経麻痺』には変わらないので・・・・。


【治療】
軽度の場合は温熱療法やストレッチ、マッサージなどを行い肘への負担を取り除きます。
*お医者さんの場合は鎮痛剤の処方などがあります。

中~強度の場合は神経ブロックなどの注射、外科的治療(神経移行術・骨切り術など)を行います。

基本的に私たちは遅発性尺骨神経麻痺を診させて頂くことはありませんが、こんな流れで治療していきます。


遅発性でも普通の場合でも症状や治療は同じです!!


以上!!今回はここまで!!




今回記載したような症状がある方で、まだ治療されていない方は必ず医療機関で適切な治療を行って下さい!!